電気温水器の基本からメリット・費用を総チェック

給湯設備の選択肢として注目される電気温水器。火を使わないため安全性が高く、災害時にも強いという特性を持ちます。
今回は電気温水器の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、費用相場、選び方まで徹底解説します。
導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
電気温水器とは? 基本を知ろう!
電気温水器の概要と基本的な仕組みについて解説します。
他の給湯器との違いも含めて紹介しましょう。
電気温水器って何?
電気温水器は水道水を電気の力で温める給湯システムです。
タンク内部に設置された電熱ヒーターが水を加熱し、約75~85℃の高温にします。
蛇口をひねると給水水圧によってお湯が押し上げられ供給される仕組みです。
使用したお湯の分だけ自動的に水道水がタンク内に補充され、常に満タン状態となります。
主に電気料金が割安になる夜間時間帯に沸かすよう設計されています。
水はお湯になると約3%体積が膨張するため、その膨張分を逃がす目的で逃し弁が設置されています。
水道直結型の温水器では、この仕組みが破裂などの危険を防止してくれるのです。
なぜ電気を使うのか?
電気温水器はガス給湯器と比較して独自の特徴があります。
ガス給湯器がガスバーナーでお湯を沸かすのに対し、電気温水器は電気ヒーターで加熱します。
火を使わないため火災や一酸化炭素中毒のリスクが極めて低いというところが、安全面での大きなメリットといえるでしょう。
電気温水器は熱効率が高く、特に深夜電力を活用すれば比較的経済的に運用できます。
ガス給湯器には「直圧式(瞬間式)」と「貯湯式」があり、直圧式はその場で瞬時にお湯を作ります。
一方で電気温水器は基本的に貯湯式であり、タンクにお湯を貯めておく方式です。
パワー面ではガスバーナーが強いため、短時間で大量のお湯を必要とする場合はガス給湯器が適しています。
しかし電気温水器はお湯を貯めておく仕組みのため、蛇口をひねればすぐに安定した温度のお湯が使用可能です。
時間差なく快適にお湯を使いたい家庭に向いているでしょう。
電気温水器のメリットとデメリット
電気温水器の導入を検討する際に知っておきたい、メリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット
電気温水器を導入する際に知っておきたい主なメリットは下記のようなものです。
- 災害時や停電時にもタンクに貯めたお湯を非常用水として使用可能
- 断水時にもタンク内の水を生活用水として利用できる
- 火を使わないためガス漏れや一酸化炭素中毒などの危険性がない
- 蛇口をひねるとすぐに安定した温度のお湯が出る
動作音が静かで近隣への音漏れの心配もありません。
耐用年数も約15年以上と長く、長期運用の観点からも優れた選択肢となります。
小さなお子さんやご高齢の方がいる家庭でも安心して使用できるのではないでしょうか。
デメリット
電気温水器の導入を検討する際はデメリットも把握しておく必要があります。
1つ目のデメリットとして、設置に広いスペースが必要となる点があげられます。
ガス給湯器と比べて2〜3倍のサイズになるため、設置場所はよく検討しなければなりません。
近年の電気代高騰の影響を直接受けている点も否めないでしょう。
タンク内のお湯を使い切ると、新たにお湯が使えるようになるまで時間がかかる点や、水圧が下がり、シャワーの勢いが弱くなる場合があるのもデメリットといえるのではないでしょうか。
入浴剤の使用も制限される場合があり、特に炭酸ガスや炭酸ナトリウムを含む製品は本体や配管に不具合を起こす可能性があります。
大家族や湯量をたくさん使う家庭では湯切れに注意が必要です。
電気温水器の価格・設置費用の相場
電気温水器を導入する際の費用について、本体価格から設置費用まで詳しく解説しましょう。
本体価格の目安
一般家庭向け電気温水器の本体価格は約10~25万円が相場となっています。
高機能モデルになると50万円前後の製品もあります。
家庭用電気温水器は主に3種類の容量が販売されており、「370L」(3~4人家族向け)、「460L」(4~5人家族向け)、「550L」(5~6人家族向け)から選べます。
タンク容量が大きくなるほど価格も上昇するため、家族の人数や将来的な使用状況を考慮して選ぶことが重要です。
無駄に大きな容量を選ぶと初期費用だけでなく、沸き上げに必要な電気代も高くなります。適切なサイズ選びが経済的な運用につながります。
業務用電気温水器は一般家庭向けよりも大容量(数百〜数千L)で、価格も数十万円〜数百万円と高額です。
業務用は連続使用に耐える設計になっているため、部品の耐久性や安全機能が強化されており、コストも高くなる傾向がありますが、家庭用と比較すると耐久性や安全性が高く設計されています。
設置にかかる費用
設置費用の総額は、本体価格(10~25万円)と工事費(7~10万円)を合わせて、17~35万円程度が相場です。
既存の配管を利用できる交換工事の場合は費用が抑えられますが、新設や配管の大幅な変更が必要な場合は追加費用が発生します。
住宅の状況によって大きく変わる点に注意しましょう。
工事内容によって費用が変わるため、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
電気工事や給排水工事が必要になるため、有資格者による施工が必須であり、DIYでの設置はできません。
専門業者に依頼し安全に設置してもらいましょう。
また、高グレードの機種ほど工事が複雑になることもあり、本体価格だけでなく工事費も上がる傾向にあるといわざるを得ません。
設置場所の状況や機種の特性を踏まえた総合的な費用を事前に把握しておくことで、予算内での導入計画が立てやすくなります。
専門業者と綿密な打ち合わせをしておきましょう。
電気温水器とエコキュートの違い比較表
項目 | 電気温水器 | エコキュート |
---|---|---|
お湯の作り方 | 電気ヒーターで加熱 | 空気の熱を利用 |
省エネ性能 | △(高めの電気代) | ◎(高効率で節約可能) |
初期費用 | 比較的安い | やや高め |
ランニングコスト | 高め(電気代がかかる) | 低め(電気代が安い) |
設置スペース | 広めが必要 | 省スペース化が進んでいる |
電気温水器の種類と選び方
電気温水器にはいくつかの種類があります。
ここでは主な種類と選び方のポイントを解説します。
貯湯式 vs. 瞬間式
貯湯式電気温水器はタンクにお湯を貯めておき、必要な時に使用する方式です。
安定した温度のお湯がすぐに使えるという大きな利点があります。
瞬間式電気温水器は使用時に瞬時に水を温める方式で、コンパクトで設置スペースを取らない反面、温まるまで若干の時間がかかります。
貯湯式は、お湯の使用量が比較的安定している家庭や、深夜電力を活用して経済的に運用したい家庭に向いているといえるでしょう。
瞬間式は、設置スペースが限られているマンションや小規模住宅、使用頻度が低い別荘などに適しているでしょう。
設置場所や使用状況に応じた選択が重要です。
貯湯式はタンク容量以上のお湯を短時間で使用するとお湯切れを起こすリスクがありますが、瞬間式は使い続ける限りお湯が出続けるという特徴があります。
瞬間式は水圧が強いためシャワーの勢いを重視する家庭に向いていますが、電力消費が大きいというデメリットもあります。
使用スタイルに合わせて選択しましょう。
家庭用 vs. 業務用
家庭用電気温水器は一般的に370L〜550Lの容量が主流で、3〜6人家族の日常的な給湯需要に対応できるサイズです。
業務用電気温水器は数百L〜数千Lの大容量で、ホテル、病院、工場など大量のお湯を必要とする施設向けに設計されています。
家庭用は深夜電力を利用して経済的に運用することを想定しています。
一方、業務用は24時間稼働を前提とした設計のものが多いです。
業務用は連続使用や大量給湯に耐える構造で、より頑丈な部品や安全機能が強化されており、耐久性が高いという特徴があります。
用途によって適切な種類を選びましょう。
家庭用は一般的にシンプルな操作性を重視しているのに対し、業務用は細かな温度管理や使用量モニタリングなど、専門的な機能が充実しています。
一般家庭では必要のない機能が多く搭載されている分、コストも高くなります。
実際の使用用途に合わせた選択がおすすめです。
電気温水器をお得に導入する方法
電気温水器をより経済的に導入するため、補助金や助成金を活用できるのか、購入時にはどのようなことに注意するとよいのか、みなさん知りたいところでしょう。
ここからは選び方のポイントについて解説します。
補助金や助成金の活用
通常の電気温水器は補助対象にならないケースがほとんどです。
補助金を活用したい場合は、エコキュートなどのヒートポンプ給湯機や、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)、家庭用燃料電池(エネファーム)を選択すると良いでしょう。
エコキュートは、大気中の熱を利用してお湯を沸かすヒートポンプ技術を採用し、省エネ性能が高く電気代の節約につながります。
ハイブリッド給湯機は、電気ヒートポンプとガス瞬間式を組み合わせ、効率的にお湯を供給しながらガスの瞬発力も活かせるのが特徴です。
エネファームは、都市ガスやLPガスから水素を取り出して発電し、排熱でお湯を作るため、エネルギーの無駄が少なく環境負荷の低減にも貢献します。
それぞれの特徴を比較し、補助金を活用するかどうかも含めて、長期的な目線でライフスタイルに合った機種を選びましょう。
購入時のポイント
購入前に複数の業者から見積もりを取り、本体価格だけでなく工事費や追加費用も含めた総額を比較することが重要です。
施工実績が豊富で、アフターサービスが充実している業者を選ぶことでトラブル時も安心して対応してもらえます。
信頼性の高い業者を選ぶことが長期的なコスト削減につながるといえるでしょう。
機種選びでは「フルオート」「オート」「給湯専用」の機能の違いを理解し、自分の生活スタイルに合ったものを選びましょう。
タンク容量は現在の家族構成だけでなく、将来的な家族の増減や帰省時の使用状況なども考慮して選定することが大切です。
長期的な視点での選択が後悔のない導入につながります。
電気温水器は約15年の耐用年数があるため、定期的なメンテナンスを行うことで性能維持とトラブル防止につながります。
メーカー純正部品の在庫状況や、無料定期点検サービスの有無なども購入時のチェックポイントです。
アフターサービスの充実度も重要な選択基準となります。
【まとめ】電気温水器の特徴を理解して最適な選択を!
電気温水器は火を使わない安全性と災害時の強さという大きな特徴を持ち、適切な選択と運用で快適な給湯生活を実現します。
初期費用とランニングコストのバランス、家族構成、住宅の状況など多角的な視点での検討が必要です。
適切な容量選びで経済的負担を軽減しながら、長期的に満足できる給湯システムを選びましょう。
各家庭の使用状況に合わせた最適な選択が、快適で安全な生活につながります。