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【高齢者のためのトイレリフォーム】気をつけるポイントは?費用相場~使える補助金も解説

高齢期の生活を快適に過ごすためには、住まいの安全性が何より重要です。
中でもトイレは毎日必ず使う場所であり、転倒事故が最も起こりやすい空間でもあります。

本記事では高齢者向けトイレリフォームのポイントから費用相場、活用できる補助金まで詳しく解説します。


旧澤 はるか(創建リフォーム)

インテリアコーディネーター
カラーコーディネーター
キッチンスペシャリスト

前職ではリフォーム会社の営業職として家族状況の変化やライフステージに合わせた最適なリフォームプランを提案してきました。
株式会社創建に入社後、リフォームコーディネーター・カラーコーディネーターとして、色彩の配色を活かしたリフォームコーディネートを行っています。

    高齢者向けトイレリフォームの基本ポイント

    トイレリフォームを成功させるためには、安全性と使いやすさを両立させることが重要です。
    高齢者の身体状況に合わせた適切な設計と施工で、長く快適に使えるトイレ空間を作りましょう。

    安全性を高める床材と段差対策

    滑りやすい床材は高齢者にとって大きな危険要素となります。
    床材選びでは塩化ビニール樹脂製のクッションフロアが最適です。
    表面に凹凸加工が施されており、水で濡れていても滑りにくく、柔らかさがあるため転倒時の衝撃も緩和します。

    出入口の段差は転倒事故の最大の原因です。
    わずか2cmの段差でも足をひっかけやすく、高齢になるほど危険度は増します。

    段差を完全に解消することで車椅子でもスムーズに出入りできるようになり、将来的な介護負担の軽減にもつながります。
    段差をなくす工事が難しい場合は、段差部分に傾斜をつけるスロープタイプの対策も効果的です。

    床材選びと段差対策について、以下のポイントがあります。

    • 床は水濡れしても滑りにくい素材を選ぶ
    • 掃除のしやすさも考慮する
    • 段差はできる限りゼロにする
    • 色の違いで段差を視覚的に認識できるようにする
    • 将来の車椅子使用も想定した設計にする

    扉の選び方と設置方法

    内開きの扉は万が一トイレ内で高齢者が倒れた場合、扉が開かず救助が遅れる危険性があります。
    扉が体を押し付けることで二次被害も懸念されるため、トイレの扉は引き戸タイプに変更するのが理想的です。

    引き戸は開閉の際に体のバランスを崩しにくく、力も少なくて済むため高齢者に適しています。
    スペースの関係で引き戸への変更が難しい場合でも、最低限「外開き」に変更するだけでも安全性は格段に向上します。
    開き戸のノブも握力の弱った高齢者でも操作しやすいレバーハンドルタイプに変更すると良いでしょう。

    手すりの配置と便器選び

    手すりは立ち座りの動作を支援し、転倒防止に大きく貢献します。
    機能性を高めるためにはL字型の手すりが最適で、縦部分で立ち上がり動作を、横部分で座る動作をサポートできます。

    便器の選択では腰や膝への負担が少ない洋式便器を選びましょう。
    座面の高さは40〜45cmが理想的で、低すぎると立ち上がりが難しくなり、高すぎると座った時に足が床につかず不安定になります。
    背もたれやひじ掛けがついたタイプだと姿勢保持が楽になるため、体力の弱った高齢者には特におすすめです。

    手すりの設置には壁の補強工事が必要になることがあります。
    しっかりした強度を確保するためには下地補強が不可欠で、既存の壁をいったん剥がす工事が必要になる場合もあります。
    使用者の身体状況や利き手に合わせた適切な位置に設置することが重要です。

    快適さと安心を高める工夫

    安全性確保に加え、快適で使いやすい空間づくりも高齢者向けトイレリフォームでは重要です。
    おすすめの工夫を紹介します。

    トイレ空間の広さと配置

    高齢者が自立して利用できるトイレは最低でも0.8坪(約2.6㎡)程度必要です。
    介助が必要になった場合は1.25〜1.5坪(約4.1〜5.0㎡)の広さがあると理想的です。

    便器の配置は介助のしやすさを考慮し、正面や側面にスペースを確保しましょう。
    介助者と利用者双方の動きを妨げないレイアウトにすることで、日々の負担が大きく軽減されます。

    トイレの場所は寝室近くに配置すると、夜間の移動距離が短くなり安全性が高まるでしょう。
    高齢になると夜間のトイレ利用が増える傾向にあるため、移動経路の短縮は転倒リスク低減に直結します。

    利用状況 必要な広さの目安 主な配慮ポイント
    自立利用 0.8坪(約2.6㎡)以上 手すりの配置、滑り防止
    一部介助 1.0坪(約3.3㎡)以上 介助スペース、出入口の幅
    全面介助 1.5坪(約5.0㎡)以上 車椅子回転スペース、介助者の動線

    照明と洗浄設備の工夫

    トイレの照明は足元までしっかり見える明るさが必要です。
    高齢者は若年者と比べて必要な照度が2〜3倍とも言われており、薄暗い空間では段差の認識が難しくなり転倒リスクが高まります。

    トイレタンク上の手洗いは高齢者には使いづらいケースが多く見られます。
    別途手洗い器を設置すると腰をかがめる必要がなく、立ったまま手を洗えるため負担が軽減されるでしょう。

    洗浄機能は操作のしやすさも重要です。
    大きなボタンや凹凸のあるスイッチは視力が低下した高齢者でも操作しやすく、リモコンタイプより壁付けの大型スイッチの方が見つけやすくなります。

    温度対策と緊急時の安全確保

    冬場のトイレは家の中で最も寒くなりがちな場所です。
    急激な温度変化によるヒートショック現象は、高齢者の心筋梗塞や脳卒中の引き金になる可能性があります。
    人感センサー付きの小型ヒーターを設置すると、入室と同時に暖房が作動し、トイレ空間を温めることができます。

    緊急時の対策として呼び出しボタンの設置も検討しましょう。
    トイレ内で体調不良や転倒事故が発生した場合でも、すぐに家族に知らせることができ、早期対応が可能になります。
    無線タイプの緊急呼び出しブザーなら大規模な工事なしで設置でき、コスト面でも負担が少なくて済みます。

    トイレリフォームの費用相場

    高齢者向けトイレリフォームを検討する際、予算計画は重要です。
    工事内容によって費用は大きく変わるため、必要な改修内容を明確にしておきましょう。

    基本工事の費用目安

    便器交換は最も一般的なリフォーム内容です。
    便座の交換だけなら5〜10万円程度で済みますが、タンクを含む便器一式の交換では15〜25万円が相場です。
    機能性の高いものや温水洗浄機能付きのものを選ぶと30〜40万円程度かかることも珍しくありません。

    手すりの設置費用は本体価格と工事費を合わせて3〜10万円程度です。
    壁に下地補強が必要な場合は追加で5〜8万円程度かかるため、リフォーム時に一緒に手すり設置までしておくと工事の重複を避けられコスト削減につながります
    強度不足の手すりは危険なため、取付工事はプロに依頼するのが安心です。

    床材の張り替え費用は2〜8万円程度が相場です。
    材質や広さによって価格は変動しますが、滑り止め加工された高齢者向けの床材は若干割高になる傾向があります。
    段差解消工事は約5〜10万円で、段差の高さや工法によって費用が変わります。

    ドア・扉のリフォーム費用

    扉のリフォームは安全性向上に効果的ですが、費用面では比較的高額です。
    内開きから外開きへの変更は約5〜10万円、引き戸への変更は約10〜20万円が相場です。
    既存の壁構造によっては大規模な工事になるケースもあります。

    引き戸本体の価格は素材やデザインによって4〜10万円程度と幅があります。
    工事費込みで10〜20万円程度が一般的ですが、壁の構造によっては下地工事が必要になり、費用が増加することも珍しくありません。

    より高機能な設備としては電動式の自動ドアもあり、センサー感知で開閉するタイプは約50万円以上します。
    設置には専門的な電気工事も必要になりますが、重度の身体障害がある場合や将来的な介護負担を大幅に軽減したい場合には検討価値があります。

    工事規模別の総費用

    一般的なトイレリフォームの費用相場は20〜30万円程度で、工期は数時間〜5日程度が目安です。
    既存の便器を新しいものに交換し、床材を張り替える程度の工事なら大きな負担にはなりません。

    高齢者向けの本格的なトイレリフォームの場合、総費用は30〜100万円程度が相場です。
    段差解消や引き戸設置、手すり取付、専用手洗い器設置などをトータルで行うと50万円前後かかるケースが多いです。
    トイレスペースを拡張する場合は壁の移設が必要になり、さらに費用が上乗せされます。
    予算に応じて優先順位をつけた改修計画を立てると良いでしょう。

    活用できる補助金・助成金制度

    高齢者向けトイレリフォームには様々な補助金や助成金が利用できます。
    条件を満たせば工事費用の負担を軽減できるため、積極的に活用しましょう。

    介護保険による住宅改修費支給

    介護保険の住宅改修費制度は、要支援・要介護認定を受けた方が利用できます。
    トイレの手すり設置や段差解消、扉の交換、和式から洋式への変更などが対象工事となり、上限20万円まで支給を受けられます。
    自己負担は所得に応じて1〜3割です。

    制度の利用は原則として1人1回限りですが、要介護度が3段階以上上がった場合や引っ越しをした場合は再度申請できます。
    複数の改修を一度に行うのが効率的であり、将来的な身体状況の変化も見据えた計画を立てることが重要です。

    自治体独自の高齢者住宅改修助成

    各自治体では介護保険とは別に独自の住宅改修助成制度を設けているケースが多くあります。
    バリアフリー化や介護予防を目的とした住宅の修繕が対象で、工事費用の一部を助成するケースが一般的です。

    自治体によっては、トイレの洋式化や引き戸への変更なども対象になります。
    助成額や内容、条件は地域ごとに異なりますので、申請前に各自治体の窓口で詳細を確認しましょう。

    その他の支援制度と節税対策

    リフォーム減税制度も活用できます。
    バリアフリー改修工事は所得税の控除対象となり、工事費用の10%が税額から控除されます。
    手すりの設置や段差解消、トイレ改修も対象工事に含まれ、最大控除額は20万円です。

    他にも、長期優良住宅化リフォーム推進事業や子育てグリーン住宅支援事業なども利用できる可能性があります。
    申請前に手続きが必要な場合が多いため、着工前に必ず確認しましょう。

    まとめ

    高齢者向けトイレリフォームは安全性と使いやすさを重視した設計が重要です。
    滑りにくい床材への変更や段差解消、引き戸への変更、手すり設置などの基本的な改修で安全性が大きく向上します。
    総費用は工事内容にもよりますが、小規模なリフォームで20〜30万円、本格的な改修で50〜100万円程度が相場です。

    介護保険による住宅改修費支給制度では最大20万円(1〜3割の自己負担あり)の支援が受けられるほか、自治体独自の助成金制度も多数存在します。
    将来の身体状況変化も見据えた計画的なリフォームで、長く安心して暮らせる住環境を整えましょう。