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【築40年の家】リフォームは必要?優先順位は?費用~注意点も総まとめ

築40年を超える住宅では床や壁紙の損傷が目立ち、水回りでは劣化が進行しています。
放置すれば住まいの寿命を縮めるだけでなく、安全面でも問題が生じかねません。

老朽化した住宅をどう蘇らせるか、優先順位と費用から対策を考えましょう。


旧澤 はるか(創建リフォーム)

インテリアコーディネーター
カラーコーディネーター
キッチンスペシャリスト

前職ではリフォーム会社の営業職として家族状況の変化やライフステージに合わせた最適なリフォームプランを提案してきました。
株式会社創建に入社後、リフォームコーディネーター・カラーコーディネーターとして、色彩の配色を活かしたリフォームコーディネートを行っています。

    築40年の家はなぜリフォームが必要なのか

    築40年を超えた住宅では建材や設備に様々な問題点が現れ始めます。
    住まいの安全性や快適性を保つために適切な対策が必要です。

    住宅の劣化状況とリフォームの必要性

    築40年を超える住宅では床や壁紙の損傷、水回りでの劣化が顕著に表れやすくなります。
    長年の使用による自然な摩耗や変色だけでなく、湿気による建材の膨張収縮も進行しています。

    見た目で分かる段階では既に建物内部でも老朽化が進行している可能性が高く、早めの対応が必要です。
    定期的にメンテナンスしていないと深刻な問題へとつながり、構造材の腐食やシロアリ被害を加速させる原因となります。

    耐震性や断熱性の問題点

    1981年6月以前に建てられた旧耐震基準の住宅は、震度6強以上の地震で倒壊リスクが高まります。
    現行の耐震基準と比べて必要な強度が不足しており、大地震時に深刻な被害を受ける危険性を孕んでいるのです。

    断熱材の性能低下も見逃せない問題です。経年劣化によって断熱効果が減少し、冷暖房効率が悪化します。
    新築住宅と比較すると光熱費が大幅に増加するケースも少なくありません。
    夏の暑さや冬の寒さを感じやすくなるだけでなく、エネルギー消費量の増加が家計を圧迫します。

    気密性が低いと結露を引き起こし、目に見えない壁の中で木材が腐ったり、カビが生えたりする原因になります。
    断熱工事をすれば快適に過ごせるだけでなく、家を長持ちさせることにもつながります。

    水回りや設備の老朽化による問題

    古い給水管は内側が錆びてくると、水道水が赤っぽく変色することがあります。
    このような状態が続くと、単に水の見た目や味が悪くなるだけでなく、最終的には管に穴が開いて水漏れを起こしたり、圧力で管が破裂する可能性も出てくるでしょう。

    タイルの浴室は時間が経つと防水層が劣化して水漏れを起こしやすくなります。
    気づかないうちに水が漏れ続けると、家の骨組みが傷んで大きな修理が必要になることもあります。

    キッチン設備の寿命も、約20年が目安です。古い住宅では設備が限界を超えており、ガス漏れや排水管の詰まりなどの危険が高まっています。
    水回りの問題は見えにくいですが、放置すればするほど被害が大きくなります。

    下記の表は水回り設備の標準的な耐用年数を示したものです。

    設備名 一般的な耐用年数 劣化による主な症状
    給水管 30年(目安) 赤水、水圧低下、漏水
    浴室(在来工法) 25~30年(目安) 防水層劣化、タイルや浴槽のひび割れ、下階漏水、サビ
    キッチン 15~20年(本体目安) 扉や引き出しのがたつき、割れ、排水詰まり、漏水、機能劣化
    トイレ 便器・タンク:20~25年 水漏れ、便器のヒビ、詰まり、悪臭

    築40年リフォームの優先順位はどこから始めるべき?

    限られた予算で最大の効果を得るには、優先順位を明確にしたリフォーム計画が必要です。
    どこから始めるべきか、見ていきましょう。

    最優先すべき水回りのリフォーム

    古い住宅で優先順位が最も高いのは浴室です。
    タイル張りの浴室からユニットバスに変えることで水漏れを防ぎ、寒さ対策もできるため、入浴が格段に快適になります。

    洗面所も浴室と一緒に工事すると効率的です。
    同時に工事をすれば工事期間も短縮され、費用も抑えられます。
    トイレも古くなると問題が起きやすいため、配管も含めて新しくするのがおすすめです。
    水回りは生活に直結する場所なので、優先して改修を考えましょう。

    水回りリフォームで確認すべきポイントについて、以下の点があります。

    • 配管の取り替え時期は来ていないか
    • 漏水の兆候はないか
    • バリアフリー対応が必要か
    • 断熱性能は十分か
    • 設備の使い勝手に問題はないか

    水道管は壁の中に隠れているため、つい後回しにしがちですが、古くなると水漏れを起こす危険があります。
    家の中で最も優先して直すべき部分の一つです。
    水漏れは発見が遅れると大きな被害につながるため、早めの対策が大切です。

    建物の耐久性を左右する外装リフォーム

    外壁塗装を長期間実施していないと、家の防水機能が弱まります。
    外壁は家の「皮膚」のような役割をしており、適切に手入れすることで建物を長持ちさせることができます。

    屋根も同様に重要な部分です。
    古い家では雨漏りを防ぐために、屋根の状態をしっかり点検し、必要なら葺き替えを考える必要があります。

    基礎にひび割れがあると放置することで家全体が傾く危険性があります。
    外装の修理は費用がかかりますが、家の寿命を延ばすための大切な投資と考えましょう。

    快適な住環境を実現する内装リフォーム

    間取り変更をすることで、古い家でも現代の生活スタイルに合った使いやすい空間にできます。
    特に耐震補強と一緒に工事すると、安全性と快適性を高められます。

    キッチンを新しくすると、調理がしやすくなり、収納も増えて毎日の家事が楽になるでしょう。
    手すりの設置や段差をなくすバリアフリー工事は、少しずつ進めることができます。
    将来のことを考えて早めに対応しておくと、年を取ってからの大工事を避けられます。

    築40年のリフォーム費用はどれくらい必要?

    築40年住宅のリフォームは範囲や方法によって費用の幅は大きいものです。
    建物の状態や希望する性能によって適切な予算設定が必要となるでしょう。

    フルリフォームにかかる総費用の相場

    20坪物件で1000〜1400万円、30坪で1350〜1800万円、50坪で1900〜2500万円が標準相場となっています。
    住宅の状態や地域による価格差もあるため、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

    スケルトンリフォーム(躯体解体)の場合、坪単価10〜60万円が目安になります。
    都心部や高級仕様を求めると70万円を超えることもあります。
    構造体だけを残して内外装を全面的に刷新するため、新築に近い住宅性能が期待できるでしょう。

    部位別のリフォーム費用の目安

    浴室ユニット交換は60〜140万円(在来工法からの変更含む)が相場です。
    浴室は水回りの中でも特に劣化が進みやすく、防水性や断熱性を考慮すると、ユニットバスへの変更が一般的です。

    外壁塗装は80〜150万円が目安となります。外壁の状態や素材、家の大きさによって費用は変動します。
    キッチン更新は50〜100万円(システムキッチン標準装備)が主な価格帯です。
    生活の中心となるキッチンは、機能性や使いやすさを重視した選択が望ましいでしょう。

    予算内で効果的にリフォームするコツ

    水回りの配置を大きく変えずにリフォームすれば、配管工事費を節約できます。
    今ある水道管の位置に合わせた計画が、コストを抑えながらも満足度の高いリフォームにつながります。

    リフォーム業者は必ず複数から見積もりを取りましょう。
    同じ内容の工事でも会社によって費用に差があるため、価格だけでなく、提案の質や過去の実績も含めて比較することが大切です。

    お住まいの地域の補助金制度を利用することで、工事費用を抑えられる場合があります。
    地域によって支援内容が異なるため、計画を始める前に役所に確認するとよいでしょう。
    予算を有効に使うには、何を優先するかを長い目で見て決めることが重要です。

    築40年のリフォームで注意すべきポイントは?

    築年数が古い住宅のリフォームには特有のリスクがあります。
    事前の調査と対策で想定外の事態を防ぎ、満足度の高いリフォームを実現しましょう。

    事前の住宅診断でリフォームの可否を判断

    建物の健全性を調べる住宅診断(インスペクション)を利用すれば、家の状態が正確に分かります。
    専門家が家全体をチェックして、どこを直せばよいか具体的に教えてくれます。
    築40年以上の古い家では、リフォーム前に必ず実施すべき大切な検査です。

    家の基礎が傾いている場合は特に注意が必要です。
    基礎の傾きは家全体の安全性に関わる深刻な問題で、見つけたらすぐに対応しなければなりません。

    シロアリの被害が広範囲に及んでいる場合は、リフォームよりも建て替えを検討した方が良いこともあります。
    長い目で見ると、安全性の確保されない家にお金をかけ続けるより、新しく建て直す方が結果的に得策になることもあります。

    住宅診断では、リフォームに適さないほど劣化が進んでいないかを見極めることが重要です。
    判断に迷ったら、複数の専門家に意見を聞くとよいでしょう。

    リフォーム中に発見される追加工事の対応

    壁解体時に腐朽材を発見した場合、追加費用が必要です。
    事前の調査でも見つからないことがあるため、工事が始まってから対応が必要になることがあります。

    築40年ほどの古い家では、現在では使用が禁止されている有害物質を含む建材が使われていることがあります。
    これらを安全に取り除くための費用も考えておくと良いでしょう。

    リフォーム工事の総予算の10~15%は「予想外の工事」のために取っておくことが大切です。
    このような余裕があれば、工事中に問題が見つかっても適切に対応できます。

    建て替えを検討すべき状況の見極め方

    リフォーム費用が高額になる場合は、建て替えを検討する価値があります。
    特に耐震補強に多くの費用がかかるときは、新しく建てる方が長い目で見て効率的かもしれません。

    間取りを大きく変えたい場合は、リフォームよりも新築の方が自由に設計できます。
    リフォームでは建物の構造上の制約が多く、思い通りにならないことがあります。

    古い家は、リフォームするよりも建て替えた方が資産価値が大きく上がる可能性もあるでしょう。リフォームか建て替えかを決めるには、家の状態だけでなく、予算や将来の計画、土地の条件なども含めて総合的に考えましょう。専門家に相談しながら、長い目で見て最適な選択をすることが大切です。

    まとめ

    築40年の家は安全面や快適さに問題があることが多いです。
    まずは水回りや家の強度から直していきましょう。

    段階的に工事を進めることも可能ですが、専門家に家の状態を見てもらい、予想外の工事に備えて余裕のある予算を用意しておくと安心です。
    費用が高くなる場合は、新しく建て直すことも選択肢に入れて考えましょう。