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ヒートショックを防ぐ対策まとめ!原因から応急処置まで徹底解説

冬場に多発する入浴中の事故。
主な原因がヒートショックです。
日本では毎年約1万9,000人が入浴中に命を落としており、多くがヒートショックに関連すると考えられています。

特に寒い時期、暖かい居間から冷えた浴室へ移動する際に起こる急激な温度変化が身体に大きな負担となるため何かしらの対策を取らなければなりません。
この記事では、ヒートショック発生のメカニズムから、家庭で簡単にできる対策まで、命を守るための知識を分かりやすく解説します。


旧澤 はるか(創建リフォーム)

インテリアコーディネーター
カラーコーディネーター
キッチンスペシャリスト

前職ではリフォーム会社の営業職として家族状況の変化やライフステージに合わせた最適なリフォームプランを提案してきました。
株式会社創建に入社後、リフォームコーディネーター・カラーコーディネーターとして、色彩の配色を活かしたリフォームコーディネートを行っています。

    ヒートショックとは?

    テレビ番組などでもよく取り上げられるヒートショック。
    ここでは、ヒートショックのメカニズムや特に注意すべきシチュエーション、対処法を解説します。

    ヒートショックのメカニズム

    急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、心臓や血管に負担がかかることでめまいや失神、最悪の場合は心筋梗塞や脳卒中を引き起こす現象がヒートショックです。
    寒い脱衣所で服を脱ぐと皮膚が冷やされ、血管が収縮して血圧が上昇します。
    その状態から熱い湯船に入ると今度は血管が急激に拡張し、血圧が下がります。
    こうした血圧の乱高下が心臓に大きな負担をかけるのです。

    ヒートショックが起きやすい年齢と季節

    65歳以上の高齢者は特にリスクが高く、若い人の2〜3倍の発生率となっています。
    加齢とともに血管の弾力性が低下し、温度変化に対応する能力が衰えるためです。

    入浴関連の事故は12月から2月の寒い季節に集中しており、室温が下がる夕方から夜間にかけて多発します。
    室温20℃以上の居間から10℃以下の脱衣所・浴室への移動は身体への負担が大きいのです。

    入浴中に「めまい」「立ちくらみ」「吐き気」「胸の痛み」などを感じたら要注意です。これらはヒートショックの前兆かもしれません。
    また、湯船から出る際にふらつきを感じたり、急に汗が出たりする場合も危険信号です。

    ヒートショックの対処法

    体調不良を感じたらすぐに入浴を中止し、体を冷やさないようにしながら安静にすることが大切です。
    症状が改善しない場合は迷わず医療機関を受診しましょう。

    住宅の断熱性能が低いと室内の温度差が大きくなり、ヒートショックのリスクが高まります。
    特に日本の古い住宅は断熱性能が低く、部屋ごとの温度差が10℃以上になることも。

    脱衣所と浴室の温度差が10℃を超えると危険性が高まるとされていますが、多くの家庭ではこの基準を超えている実態があります。
    断熱改修や部分的な暖房設備の導入が効果的な対策となるでしょう。

    ヒートショックが起こる原因とリスクが高い場面

    人命に関わる重大なヒートショック。そもそも、なぜヒートショックは起こるのでしょうか。
    ここでは、原因と特に注意すべきシーンを紹介します。

    ヒートショックの原因

    人間の身体は温度変化に対応するため、血管を収縮・拡張させて体温を調整します。
    暖かい環境では血管が広がり、寒い環境では血管が縮むのです。

    急激な温度変化は自律神経に強いストレスを与え、血圧を大きく変動させます。
    居間から脱衣所へ移動した瞬間、気温の低下を感じた身体は血管を収縮させて血圧を上昇させます。
    その状態からさらに熱い湯船に入ると、血管が急激に拡張して今度は血圧が下降。

    急激な血圧変動が心臓に負担をかけ、不整脈や心不全につながるのです。
    特に高齢者や基礎疾患がある人は、この変動に対応する力が弱まっているため、より危険性が高まりまるといえるでしょう。

    ヒートショックのリスクが高くなるシーン

    高血圧、糖尿病、心疾患、脂質異常症などの持病がある人はヒートショックのリスクが2〜3倍に増加します。
    これらの疾患は血管の状態や循環器系の機能に影響を与えるためです。

    空腹時や飲酒後の入浴は血糖値や血圧の急激な変動を招き、ヒートショックのリスクを高めます。
    食後すぐの入浴も消化活動に血液が集中するため危険です。

    冬場の水分不足も見逃せないリスク要因です。
    暖房で乾燥した環境では気づかないうちに脱水状態になりやすく、血液の粘度が上がって循環不良を起こしやすくなります。

    さらに、築年数が経過した物件は断熱性能が低いことが多く、部屋ごとの温度差が大きくなりがちです。
    冬場の早朝、暖かい布団から出て冷えた廊下やトイレに行くときもヒートショックが起こりやすい状況といえるでしょう。

    高齢者が一人暮らしをしている場合、万が一ヒートショックが起きても発見が遅れる可能性が高く、より危険性が増します。
    家族間での声かけや見守りサービスの活用がおすすめです。

    ヒートショックが発生しやすいシチュエーション

    シチュエーション 主な原因 具体的なリスク
    冬場の入浴前後 浴室と脱衣所の温度差 血圧の急変動 → 失神・転倒
    寒いトイレ 冷たい空間での排泄時 血圧の急上昇 → 心筋梗塞リスク
    夜間・早朝の起床時 寝室が冷えている 急な血圧変化 → 脳卒中リスク

    ヒートショックを防ぐための対策

    ヒートショックは適切な対策で予防できます。
    住環境の改善と入浴習慣の見直しで大幅にリスクを減らすことが可能です。

    お風呂場と脱衣所の温度をできるだけ均一にする

    ヒートショック予防の基本は住環境内の温度差をなくすことです。
    特に注意すべきは浴室と脱衣所の温度管理。

    脱衣所と浴室の温度差は5℃以内に保つことが理想的です。
    脱衣所には小型のセラミックヒーターやパネルヒーターを設置し、入浴の20分前から暖めておくと良いでしょう。

    浴室用の暖房乾燥機は入浴前の浴室を暖め、入浴後の湿気を取り除く一石二鳥の設備です。
    導入コストはかかりますが、ヒートショック予防に効果的であり、寿命を考えると決して高い買い物ではありません。

    住宅の断熱改修が難しい場合は、窓に断熱シートを貼ったり、ドア下の隙間風を防ぐテープを使用したりする方法もあります。
    入浴前にシャワーで浴室内に温かいお湯を出しておき、湿度と温度を上げておくのも簡単な対策です。

    バスマットは厚手の吸水性の高いものを選び、冷たい床からの冷えを防ぎましょう。
    脱衣所と浴室の間のドアを断熱性の高いものに交換することも良い対策です。

    入浴時の注意点

    入浴方法を見直すだけでもヒートショック予防に大きな効果があります。
    正しい入浴習慣を身につけましょう。

    入浴前には必ず水分補給を。コップ1杯程度の水やぬるま湯を飲むことで、入浴中の脱水を防げます。
    脱水状態で入浴すると血圧の変動が大きくなり危険です。

    湯温は38〜40℃の適温を心がけ、42℃以上の熱いお湯は避けるべきです。
    熱すぎるお湯は血管拡張を急激に進め、血圧低下を招きます。

    入浴前のかけ湯も重要です。いきなり湯船に全身を浸けるのではなく、まず手足から徐々に湯をかけて体を慣らしてから入るようにしましょう。
    特に頭からかけると急激な温度変化で血圧が上昇するため危険です。

    入浴の時間帯についても考慮が必要です。
    深夜の入浴は体温が下がる時間帯であり、血圧変動が起きやすいため避けましょう。
    夕食後1時間程度空けてから入浴するのが理想的です。
    入浴前後の寒暖差対策として、脱衣所での着替えはなるべく素早く行い、湯冷めを防ぐためバスローブやバスタオルをすぐに羽織る習慣をつけましょう。

    トイレや寝室の寒暖差対策

    入浴以外の場面でも寒暖差によるヒートショックは起こりえます。
    住宅全体の温度管理が重要なポイントです。

    トイレは小さな空間ながら窓があることが多く、冬場は特に冷え込みやすい場所です。
    トイレ用の小型ヒーターを設置し、暖房をつけておく習慣をつけましょう。

    夜間のトイレ利用は特に注意が必要です。暖かい布団から冷えたトイレに行く際は、厚手の靴下やスリッパを用意し、急激な温度変化を防ぎましょう。

    寝室と廊下、リビングなど移動経路の温度差も意識すべきポイントです。
    廊下にカーペットを敷いたり、家全体の温度を均一に保つよう工夫することが大切です。

    「三つの首」(首・手首・足首)を温めることで体感温度を上げることができます。
    特に高齢者は厚手の靴下や腹巻、ネックウォーマーなどを活用しましょう。

    寝室は就寝前に16〜18℃程度に暖めておき、朝起きるときの温度差を小さくすることも有効です。
    タイマー機能付きの暖房器具を活用すると良いでしょう。

    ヒートショック対策グッズは、下記の3つの視点から考えて選ぶのをおすすめします。

    • 家全体の温度差を減らす対策グッズ
    • 断熱性を高める工夫
    • 体温管理のためのアイテム

    家全体の温度差を減らすには、部屋ごとの温度計を設置し、温度差を可視化することが第一歩です。
    断熱カーテンや窓用断熱シート、ドア下の隙間風防止テープなどを活用しましょう。

    もしもヒートショックが起こったら?

    ヒートショックが疑われる状況に遭遇したら、まず落ち着いて状況を判断することが大切です。
    浴槽内で倒れている人を発見したら、まず頭部を水面から出すことを最優先にします。
    次に救急車を呼び、可能であれば浴槽から出します。
    ただし、無理に動かそうとして二次被害を招かないよう注意が必要です。

    意識不明の場合

    意識がない場合は、すぐに119番通報し、救急隊が到着するまで横向きの回復体位を保ちます。
    呼吸や脈拍がない場合は、救急指令センターの指示に従い心肺蘇生法を開始してください。

    意識がある場合

    意識がある場合は、体を冷やさないよう暖かいタオルや毛布で覆い、安静にさせます。
    水分補給は意識がはっきりしていればゆっくり少量ずつ行いましょう。
    温かい甘い飲み物が血糖値を上げ、回復を助けることがあります。

    家族が居合わせた際の役割分担も重要です。
    一人が救急車を呼び、もう一人が応急処置を行うなど、落ち着いて行動できるよう日頃から話し合っておくことが大切です。

    ヒートショックの予防法

    ヒートショックを予防するには、日常生活の中で気をつけるべきポイントがあります。

    日常生活での対策

    入浴前の習慣として、アルコールを摂取した直後の入浴は避けましょう。
    アルコールには血管を拡張させる作用があり、入浴による血圧低下を助長します。

    規則正しい食事と運動習慣も重要です。
    バランスの取れた食事で血管の健康を保ち、適度な運動で循環器系の機能を維持することがヒートショック予防につながります。

    高血圧や糖尿病などの持病がある方は、定期的な通院と適切な服薬管理が重要です。
    特に血圧の薬は自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。

    高齢者の一人暮らしの場合、入浴中の事故を防ぐため、家族や近隣住民との連絡体制を整えておくことが大切です。
    定期的な電話や訪問、緊急通報システムの導入なども検討しましょう。

    住宅をリフォームする

    より根本的な対策として、住宅の断熱改修を検討することも一つの方法です。
    住宅の断熱性能を高めることは、ヒートショック予防だけでなく、省エネや快適性の向上にもつながります。
    自治体による断熱リフォーム助成金を利用して改修工事を検討してみてはいかがでしょうか。

    浴室やトイレなど水回りの改修時には、ヒートショック対策を念頭に置いた設計を心がけましょう。
    暖房機能付き浴室への改修や、断熱性の高い建材の使用などが効果的です。

    住宅の断熱改修が難しい場合でも、部分的な改善は可能です。
    窓に断熱フィルムを貼る、扉の隙間風を防ぐ、断熱カーテンを導入するなど、比較的費用をかけずにできる対策も多くあります。

    【まとめ】適切な対策でヒートショックを予防しよう

    ヒートショック対策は特別なことではなく、日常生活の中でできる工夫がたくさんあります。
    冬場は特に温度差に気を配り、部屋間の移動時には体を冷やさないよう注意しましょう。

    住宅の断熱性能を高め、入浴習慣を見直すことで、多くの命が救われる可能性があります。
    特に高齢者がいる家庭では、家族全員がヒートショックについての知識を共有し、対策を講じることが大切です。
    小さな工夫の積み重ねが、大切な命を守ることにつながります。