【バリアフリーリフォーム】費用相場は?どこに相談すべき?情報総まとめ

高齢化社会の進展とともに需要が高まる「バリアフリーリフォーム」。
住み慣れた家で安全に暮らし続けるために重要な選択肢となっていますが、費用相場や相談窓口、活用できる補助金など知っておくべき情報はとても多いです。
本記事では、部位別の費用から公的支援制度まで、バリアフリーリフォームに関する情報を詳しく解説します。
目次
バリアフリーリフォームの費用相場
バリアフリー化の費用は工事範囲や内容によって大きく変わります。
効果的な予算配分のためにも各工事の相場を把握しておきましょう。
部位別のリフォーム費用
よくあるリフォーム内容として、手すりの取り付けや段差解消などがあります。
手すりの設置費用は1箇所あたり3万円程度が相場で、多くの場合10万円以下の予算で対応可能です。
材料費は手すりの種類によって金額が変わり、長さや形状によっても価格は変動します。
床の段差解消リフォームの相場は2万円~15万円程度です。
敷居の撤去だけなら数万円で済みますが、スロープを設置する場合は5万円~10万円、引き戸の敷居段差解消など複雑な工事になると費用は上昇します。
段差の高さや幅、使用する材料によって費用が大きく変動するため、現地確認後の見積もりが必要です。
開き戸から引き戸への変更費用は20万円~60万円程度かかります。
既存ドアの撤去、新しい引き戸の設置、壁の補修、必要に応じた内装工事などが含まれるため、比較的高額になりがちです。
引き戸のタイプ(折れ戸、吊り戸、引き込み戸など)や素材によっても価格は変わります。
場所別のバリアフリー化の費用
トイレのバリアフリー化は約30万円で、手すり設置(3万円〜)、段差解消(2千円〜10万円)、ドア変更(10〜20万円)などが主な工事です。
高齢者の転倒リスクを減らす効果が高いため、優先的に検討しましょう。
浴室は1〜250万円と幅広く、段差解消(5〜10万円)、ドア変更(12〜19万円)、滑り防止床材(10〜20万円)などが一般的です。
ユニットバス交換は100万円以上かかることもあります。
廊下や居室の床材変更は6畳でカーペット(5〜7万円)、コルクタイル(10〜15万円)程度です。
滑りにくく弾力性のあるコルクタイルは水回りにも使える人気素材です。
改修箇所 | 工事内容 | 費用相場 |
---|---|---|
トイレ | 手すり設置 | 3万円〜 |
段差解消 | 2千円〜10万円 | |
ドア変更 | 10〜20万円 | |
トイレ全体 | 約30万円~ | |
浴室 | 段差解消 | 5〜10万円 |
ドア変更 | 12〜19万円 | |
床材変更 | 10〜20万円 | |
ユニットバス交換 | 100万円以上 | |
廊下・居室 | 床材変更(6畳) | 5〜15万円 |
住宅全体のバリアフリー化の費用
一戸建て住宅全体のバリアフリーリフォーム費用の相場は400~600万円が中心価格帯です。
工事範囲や内容によって大きく変動しますが、床の段差解消、手すりの設置、ドアの交換、水回りの改修などを含めた総合的なリフォームとなります。
マンションは構造上の制約が多く、一戸建てよりも高額になることが多いです。
マンションでバリアフリーリフォームを行う際は管理規約の確認が必須で、共用部の改修には管理組合の許可が必要になります。
構造体に影響を与える工事は禁止されていることも多いため、事前の確認が重要です。
バリアフリーリフォームの相談窓口
リフォームの成功には適切な相談先選びが重要です。
公的機関から専門業者まで、目的に応じた窓口を活用しましょう。
公的機関・自治体の窓口
バリアフリーリフォームに関する公的な相談先は、以下のようなものがあります。
- 地方自治体のリフォーム相談窓口
- 国土交通省「バリアフリー班」
- 住まいダイヤル
- 地域の建築士会・建築住宅センター
まずは、お住まいの自治体の住宅リフォーム相談窓口に連絡するのが基本です。
各都道府県や市区町村では、住宅リフォームやバリアフリーリフォームに関する相談窓口が設置されています。
補助金や助成制度、工事内容についても相談可能です。
より専門的な相談やトラブル対応には、「住まいダイヤル」などの活用もおすすめです。
無料で相談できるケースが多いので、気軽に問い合わせてみましょう。
ケアマネージャー・福祉用具事業者
ケアマネージャーに相談すると、介護保険を利用したバリアフリーリフォームの検討ができます。
ケアマネージャーは利用者の身体状態や生活環境を踏まえて、必要な改修についてアドバイスし、申請手続きのサポートも行います。
福祉用具事業者は、住宅リフォームと福祉用具を組み合わせた提案や、具体的な工事内容の相談に対応可能です。
手すりの設置や段差解消など、日常生活の動作をしやすくするための改修や用具の選定についてもアドバイスを受けられます。
リフォーム業者・建築専門家
リフォーム業者や建築専門家にもバリアフリーリフォームの相談は可能です。
業者を選ぶ際は、「福祉住環境コーディネーター」など専門資格を持つスタッフがいるところを選びましょう。
必ず複数の業者から相見積もりを取り、比較することが大切です。
見積書には工事内容の詳細や使用する材料、工期、保証内容などを明確に記載してもらい、不明点は必ず質問して解消しておきましょう。
バリアフリーリフォームは専門知識が必要なため、過去の施工実績や専門資格の有無も確認するとよいでしょう。
バリアフリーリフォームの補助金・助成制度
費用負担を軽減する様々な公的支援制度があります。
条件を確認し、積極的に活用しましょう。
介護保険を利用した住宅改修の仕組み
介護保険では要支援1~2、要介護1~5の認定を受けた方が対象で、バリアフリー工事に20万円を限度に7から9割(所得に応じて異なる)の給付が受けられます。
対象となる工事は限定されており、手すりの設置、段差解消、滑り止め・移動しやすい床材への変更、引き戸への変更、洋式トイレへの変更とそれらに付帯する工事のみとなります。
介護保険の住宅改修を利用するには工事前の申請が必須で、申請せずに工事を進めると給付対象外になるため注意が必要です。
ケアマネージャーや自治体の介護保険窓口への事前相談が重要となります。
申請手続きはケアマネージャーに相談すると円滑に進めることができるでしょう。
リフォーム減税制度
バリアフリーリフォームを行うと、所得税控除・固定資産税の減額・贈与税の非課税など、複数の減税制度が利用できます。
所得税の控除では、バリアフリー改修工事費の10%(最大20万円)が工事を行った年の所得税から差し引かれます。
控除を受けるには「増改築等工事証明書」などの書類が必要です。
固定資産税については、バリアフリー改修後の住宅に対して、翌年度分の税金が3分の1減額されます。
ただし、賃貸住宅は対象外となっていますのでご注意ください。
祖父母や両親からリフォーム資金を受け取った場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度も利用できます。
これらの制度はそれぞれ適用条件が異なるため、リフォームを計画する際には事前に確認しておきましょう。
自治体独自の助成金制度と申請方法
各自治体で「高齢者向け住宅リフォーム助成」「障がい者向け住宅リフォーム助成」などの独自制度があります。
助成金の対象や金額は自治体によって大きく異なるため、居住地の市区町村の担当窓口(福祉課や住宅課など)に問い合わせることが必要です。
申請方法や必要書類も自治体によって異なりますが、工事前の申請が基本となっています。
リフォーム計画を立てる段階で早めに自治体に相談しましょう。
複数の制度を組み合わせることで負担を大きく軽減できる可能性もあります。
工事内容によっては介護保険と自治体の助成金を併用できるケースもあります。
制度の内容は年度によって変更されることもあるため、最新情報の確認が必要です。
バリアフリーリフォームを成功させるコツ
効果的で使いやすいバリアフリー住宅を実現するための重要なポイントを解説します。
高齢者に最適なバリアフリー対策
バリアフリーリフォームでは、高齢者の安全を考慮した工夫が重要です。
床の段差は高齢者にとって大きな障害となるため、特に転倒リスクの高い玄関や水回りの段差解消を優先しましょう。
スロープ設置や床のかさ上げが一般的な対策となります。
手すりは使用者の身体状況や体格に合わせて設置することが効果的です。
トイレでは床から約70cmの高さを目安にしますが、個人に合わせて調整する必要があります。
I型やL型の手すりが効果的です。
床材選びでは滑りにくく衝撃を和らげる素材を選び、特に水回りは滑り止め加工された素材を使用するとよいでしょう。
車椅子使用や杖歩行も考慮した素材選択も安全性向上につながります。
介護のしやすさを考えたリフォーム
介護リフォームでは介護者の負担軽減も重要です。
廊下や出入り口は幅80cm以上確保し、トイレや浴室には十分な介助スペースを設けましょう。
介護者が無理な姿勢を取らずに介助できる空間設計が長期的な負担軽減につながります。
浴室では介護者が使いやすい位置にも手すりなどの補助器具を設置するとよいでしょう。
扉は開閉スペースが少なく車椅子通行もスムーズになる引き戸が適しており、緊急時に外からも開けられる鍵を選ぶなど、安全性と利便性を両立させる工夫が必要です。
介護者の動きや緊急時対応を考慮した設備配置を心がけることで、介護がしやすくなります。
段階的なバリアフリー化の進め方
バリアフリーリフォームは現在の身体状況だけでなく将来的な変化も考慮し、優先順位をつけた段階的な計画を立てることをおすすめします。
一度にすべてを改修するのではなく、必要性の高い箇所から順次対応する方法が費用面でも現実的です。
まずは事故リスクが高く使用頻度の多い浴室、トイレ、玄関などを優先し、その後居室や廊下へと拡大していきましょう。
日常生活での使用頻度と転倒リスクの高さを基準に優先順位を決めると効果的な計画が立てられます。
将来的な改修も見据えて最初の段階で電気配線や給排水管を考慮した設計にしておくと、後の工事がスムーズになり費用も抑えられます。
まとめ
バリアフリーリフォームは手すり設置や段差解消などの小規模工事から住宅全体の改修まで多様です。
費用は工事内容によって大きく変動し、住宅タイプでも価格帯が異なります。
各種支援制度があり、保険給付や税制優遇、自治体の助成金なども利用できます。
公的な相談窓口では中立的な立場からのアドバイスが受けられるでしょう。
成功のコツは現在と将来を見据えた計画、使用者と介護者両方に配慮した設計、そして段階的に進める方法です。
適切な計画と支援制度の活用で、安全で暮らしやすい住環境を無理なく実現しましょう。