【比較】IHとガスコンロ、どっちがいい?光熱費・メリット・交換費用を徹底比較

キッチンリフォームや引っ越しで頭を悩ませるのが調理器具の選択問題です。
最近人気が高まっているIHとガスコンロ、どちらを選べば良いのか迷う方も多いでしょう。
光熱費や使い勝手、安全性などさまざまな観点から両者を比較し、ベストな選択ができるよう徹底解説します。
[mokuji]
IHとガスコンロの光熱費はどっちがお得?
IHとガスコンロの光熱費を比較する際は、熱源の違いだけでなく、熱効率や地域によるエネルギー料金の差も考慮する必要があります。
詳しく解説しましょう。
光熱費の計算方法と実際の料金比較
IHの電気代は「消費電力(kW)×使用時間(h)×電気代単価(円/kWh)」で算出します。
一方、ガスコンロは「出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガス発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)」という計算式で求められます。
具体的な料金を比較すると、お湯1Lを沸かす場合、IHでは約3.3円、都市ガスでは約3.1円、プロパンガスでは約6.0円かかる計算です。
都市ガスが最もコスト効率が良く、プロパンガスが最も高くなる傾向といえるでしょう。
4人家族の標準的な使用パターンでは、IHの電気代は月額約1,170円が目安とされています。
調理頻度や調理内容によって変動しますが、平均的な家庭ではIHとガスコンロの光熱費には大きな差はないようです。
熱効率と光熱費
IHの熱効率は約90%と非常に高く、エネルギーをムダなく熱に変換します。
対してガスコンロの熱効率は60~70%程度で、残りは周囲に放熱されてしまうため、効率が良いとはいえないかもしれません。
IHは熱効率の高さから、調理時間が短縮できるメリットがあります。
お湯を沸かす際、IHの方が早く沸騰するため使用時間を抑えられ、結果的に光熱費が節約できます。
プロパンガス利用地域では、料金体系の違いからIHの方が経済的になる場合が多いようです。
都市ガスと比べてプロパンガスは割高なため、熱効率の良いIHに切り替えることで月々の光熱費を節約できるかもしれません。
ガス種別とプラン別の実際の光熱費
光熱費の実態を比較すると、都市ガスのガスコンロが最も安く、次にIH、プロパンガスのガスコンロが最も高い傾向にあります。
特にプロパンガス地域では、IHへの切り替えでコスト削減が期待できるでしょう。
IHで深夜電力を活用すると、1kWhあたり12.2円となり、都市ガス(12.1円)とほぼ同等です。
オール電化住宅で深夜電力を利用している場合は、IHの経済性が高まります。
調理機器の出力別で見ると、ガスコンロの強火(4.20kW)は1時間で約48.3円、IHの強火(1,450~2,500W)は約44.95~77.5円です。
調理に使用する火力や時間によって実際の光熱費は大きく変動するため、自分の調理スタイルに合わせて判断するとよいでしょう。
熱源の種類 | お湯1Lを沸かす費用 | 月額目安(4人家族) | 熱効率 |
---|---|---|---|
IH | 約3.3円 | 約1,170円 | 約90% |
都市ガス | 約3.1円 | 約1,000円 | 60~70% |
プロパンガス | 約6.0円 | 約2,000円 | 60~70% |
暮らしやすさで比較!それぞれのメリット
日々の調理を快適に行うためには、光熱費だけでなく使いやすさや安全性も重要なポイントです。
両者のメリットを知り、自分のライフスタイルに合った選択をしましょう。
IHの主なメリット
IHの最大の特徴は火を使わない点です。火災リスクが低減され、衣類や紙類に引火する心配がなく安心して調理できます。
特に小さな子どもがいる家庭におすすめといえるでしょう。
フラットな天板はお手入れが非常に簡単で、調理後に汚れを拭き取るだけできれいになります。
凹凸のあるガスコンロと比べて掃除の手間が格段に少なく、清潔なキッチンを保ちやすい点が魅力です。
火を使わないため、キッチンが暑くなりにくいというメリットもあります。
夏場の調理でも快適に過ごせるほか、キッチン周りの壁や天井が熱で変色するリスクも少ないといえるでしょう。
IHのメリットについてまとめました。
- 火災リスクが低く安全性が高い
- 掃除が簡単で清潔を保ちやすい
- 調理中の室温上昇が少なく快適
- タイマー機能や温度管理機能が充実している
- 鍋の温度を正確に制御できるため、失敗が少ない
ガスコンロのメリット
ガスコンロの一番の魅力は火の強さが目で見えることです。
火加減を直感的に調整できるため、熱いフライパンを軽く持ち上げる「あおり炒め」など、繊細な調理テクニックも使えます。
停電時でも使用可能で、電気がなくても調理ができる点は大きな利点です。
防災意識の高まりとともに、ガスコンロの需要も一定数を保っています。
鉄、ステンレス、アルミ、土鍋などさまざまな素材の調理器具が使える点も魅力です。
IHでは使用できない調理器具があるため、愛用の鍋やフライパンをそのまま使いたい方にはガスコンロがおすすめです。
安全性と使いやすさの比較
IHはガス漏れの心配がなく、チャイルドロック機能も備わっているため、安全面で優れています。
万が一の際に自動で電源が切れる機能も搭載されており、不在時の安全性も高いといえるでしょう。
ガスコンロは燃焼時に不完全燃焼が起きると一酸化炭素中毒のリスクがあります。
また、ガス漏れによる爆発や火災の危険性もゼロではありません。
IHは自動湯沸し機能や自動炊飯機能など便利な機能が豊富で、料理の幅が広がります。
温度管理が正確なため、チョコレートを溶かしたり、天ぷらなど温度調節が難しい料理も失敗が少なくなるかもしれません。
IHやガスコンロのデメリット
どちらの調理器具にもデメリットはつきものです。
実際の使用シーンを想像しながら、自分にとって許容できる範囲かどうかを判断するのが大切です。
IHのデメリット
IHの最大のデメリットは、IH対応の調理器具しか使えない点です。
鉄やステンレスなど磁性体の鍋でないと加熱できないため、既存の調理器具を買い替えなければなりません。
停電時に使用できないという欠点もあります。
災害大国日本では、停電対策として予備のカセットコンロを備えておくといった対応が必要になるでしょう。
複数のヒーターを同時に使うと火力が自動制限される機種があります。
3口あるIHクッキングヒーターで全てを同時に強火で使うと、電力量の制限から火力が落ちることがあり、調理に時間がかかるかもしれません。
ガスコンロのデメリット
ガスコンロは火を使用するため、火災発生リスクがIHよりも高いといわざるをえません。
特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では、火の消し忘れや誤った操作による事故が懸念されます。
五徳など複雑な形状の部品があり、掃除が面倒という点も日常使用では大きなデメリットです。
油汚れや吹きこぼれが五徳の隙間に入り込むと、頑固な汚れになりやすく、定期的な手入れが欠かせません。
キッチンの温度が上がりやすいという問題もあります。
特に日本の蒸し暑い夏場は、調理中の暑さが料理の負担になるかもしれません。
家族構成や生活スタイルで選ぶポイント
小さな子どもがいる家庭では、IHの安全性が高く評価されます。
火傷や火災のリスクが少ないため、子育て世代に人気です。
一方で、火の怖さを教育できないという意見もあり、家庭の方針によって選択が分かれます。
料理頻度が高く本格的な調理をする人は、火加減の調整がしやすいガスコンロが向いています。
中華料理など強火での調理が多い方や、調理器具にこだわりがある方はガスコンロの方が使い勝手が良いでしょう。
シンプルな掃除を重視する人や高齢者にはIHがおすすめです。
掃除の手間が少なく、火の管理も不要なため、安全で快適な調理環境を維持しやすくなります。
交換費用と活用できる補助金
導入時の初期費用も重要な選択ポイントです。
それぞれの交換費用と、活用できる補助金制度を確認しましょう。
ガスコンロからIHへの交換費用
ガスコンロからIHへの交換は、電気工事が必要になるため比較的高額になります。
基本工事が1~2万円、配線工事が3~4万円、IH本体が4~20万円で、合計8~26万円程度の費用がかかります。
200Vの電源工事が必要なため、ガスコンロからIHへの交換は費用がかさむケースが多いようです。
既存の電力容量が足りない場合は、ブレーカーの増設なども必要になるかもしれません。
設置タイプによっても価格差があります。
ビルトインタイプは5~30万円、据置タイプは1~16万円、卓上タイプは0.3~5万円と本体価格に幅があります。
キッチンのデザインや使い勝手を考慮して選びましょう。
ガスコンロの交換費用
ガスコンロからガスコンロへの交換は比較的シンプルです。
標準工事費が2~3万円、ガス可とう管交換が約4,000円で済みます。
ビルトインコンロとキャビネットの間にすき間ができる場合は、専用フィラー(部材費+工賃で3,000~7,500円程度)が必要になることもあるでしょう。
既存ガスコンロの撤去費用は1.5~2.5万円程度かかります。
また、レンジフードも同時交換する場合は、さらに追加費用がかかる点に注意しましょう。
ガスコンロ交換は電気工事が不要なため、IHに比べて初期投資を抑えられるメリットがあります。
特に賃貸住宅などでは、退去時の原状回復費用も考慮すると、ガスコンロの方が経済的な選択といえるかもしれません。
2025年の補助金制度
2025年に実施される「住宅省エネ2025キャンペーン」では、子育て対応改修でIHクッキングヒーター(ビルトイン自動調理対応コンロ)に15,000円の補助金が出ます。
リフォーム補助金は、リフォームの規模によって補助額の上限が変わります。
キッチン全体のリフォームを検討している場合は、他の設備と合わせて申請すると効率的です。
まとめ
IHとガスコンロはそれぞれに特徴があり、どちらが優れているかは家庭環境や使用状況によって異なります。
光熱費では都市ガスコンロが最も安く、プロパンガス地域ではIHの方がお得になるかもしれません。
安全性や掃除のしやすさではIHが優れ、調理のバリエーションや災害時の使用ではガスコンロに分があります。
初期費用はガスコンロの方が安価ですが、IHは補助金制度を活用できる点も魅力です。
自分の調理スタイルや家族構成、住環境を考慮し、長期的な視点で選ぶことが大切です。
両者のメリット・デメリットを理解した上で、ライフスタイルに合った選択をしましょう。